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子どもの病気・トラブル

2023/11/17

【医師監修】子どもの頭痛の種類や原因、対処法は?受診の基準も

【医師監修】子どもの頭痛の種類や原因、対処法は?受診の基準も

子どもに頭痛が起きた時、症状を把握するのは、実は大変ですよね。どこが痛いか、どう痛いかなどを把握しようにも、子ども自身がうまく説明することが難しいことも。
子どもの頭痛にはどのような種類があるのか、原因や対処法、受診の基準についてご紹介します。

監修者

にへい けんじ


東北大学医学部卒業。東京大学小児科、自治医科大学小児科を経て、 1979年から2001年まで国立小児病院神経科医長、 2001年から2004年まで国立成育医療センター神経内科医長 、2006年から、東京西徳洲会病院小児センター神経・発達部勤務。 小児神経学、発達神経学が専門。

子どもの頭痛の種類

子どもの頭痛の主な種類ごとに症状と原因を紹介します。
さまざまな頭痛がありますが、最も多いのは大人と同様に片頭痛、次いで「緊張型頭痛」となります。「片頭痛」と「緊張型頭痛」は原因となる病気や脳に異常はない一次性頭痛に分類されます。一方、二次性頭痛は脳の異常やウイルス性の病気などの原因があるため注意が必要です。
一次性頭痛(脳に異常なし) 片頭痛
緊張型頭痛
心因性頭痛
二次性頭痛(脳に異常あり)) 髄膜炎(ずいまくえん)、脳炎、脳出血、脳腫瘍など

片頭痛の症状と原因

片頭痛は、頭の前部分がズキンズキンと脈を打つように痛むものです。光や音に敏感になり、嘔吐(おうと)や吐き気を伴うこともあります。
片頭痛には、痛みの前に前触れとなる何らかの症状(前駆症状)があることが一般的です。典型的なものは、視界がキラキラしたり、手がしびれたり、吐き気などがあり、これらの症状が見られたあとに、頭痛が起きることが多いです。
片頭痛の原因はよくわかっていませんが、睡眠不足や気圧の変化、天候、光、人混み、遺伝などさまざまなものが挙げられますが、最も多いのは睡眠不足です。

緊張型頭痛の症状と原因

緊張型頭痛は、「締めつけられるような痛み」「なだらかな頭痛」「だらだら続く頭痛」ともいわれます。頭が重く感じられ、痛みが続く時間も長く慢性的な痛みとなりがちです。
緊張型頭痛の原因は、頭や背中、肩のこりや、ストレスなどが挙げられます。最近では、スマホやタブレット、ゲーム機などを使う時間が長くなることで、姿勢が悪くなり、緊張型頭痛につながることも増えているようです。ストレスが続くと、気が張って体が固く緊張する時間が長くなることも緊張型頭痛につながります。

心因性頭痛の症状と原因

精神的な要因で頭痛や、腹痛を訴えることがあります。幼稚園や、学校に行きたくないことが原因のこともあります。頭痛や腹痛を訴えることで、親の関心を自分に向けようとするなどがあります。
この場合は、幼稚園、保育園、学校生活で問題はないか、家庭環境に問題はないかなどを検討する必要もあります。子どもの頭痛を認めてあげて、場合によっては病院を受診して、医師から心配ないといわれると、本人も安心することがあります。

脳の異常が原因となる二次性頭痛の症状

片頭痛や緊張型頭痛は、脳に異常のない一次性頭痛といわれます。これに対し、脳に異常があるため頭痛が起こるものを二次性頭痛といい、注意が必要です。
二次性頭痛は、頭痛の頻度や強さが増したり、発熱や嘔吐、けいれんなど頭痛以外の症状も見られることが多くあります。重大な病気が原因となっていることが多く、「髄膜炎」や「脳出血」「脳腫瘍」などの可能性が考えられます。頻繁に起こるものではありませんが、頭痛以外の症状が見られる場合はなるべく早く医療機関で相談しましょう。

子どもの頭痛、保護者のかたはどう対応すべき?

子どもに頭痛が起きている場合は、まずはどのような痛みや症状なのかを確認しましょう。次のような点を把握してください。
● どこが痛いか
○ 頭全体なのか、前なのか、後ろなのか、横なのか、また片側だけかなど
● どの程度痛いか
○ 子どもが正確に表現することは難しいため、顔つきや目つき、頭のどの場所を手で押さえているかなども手がかりになります。
○ 我慢できないほどの一番痛い痛みを5とすると1〜5のどのくらいかといった5段階評価などで聞くのもよい。
● どんな時に痛くなるか
○ 起こり始めの時間
○ 痛みが起きる時間帯
○ 痛みがどのくらい続いているか
○ 突然痛くなったのか、ずっと痛いのかなど

家庭でできる初期のケア

一般的な片頭痛などの場合は、静かに寝かせることが第一です。頭痛の原因として睡眠不足が多いことからも、しっかりと睡眠をとることが大切です。
熱がある場合は、冷やしてみましょう。これまでにも何度か起こっている頭痛で、その際に服用したものがあるのであれば鎮痛剤を飲んでもよいでしょう。

受診すべき? どう判断する?

いつもの頭痛と様子が異なるように感じられる場合や、次のような場合は、医療機関を受診しましょう。
● 頭痛がくり返し起こる場合
● 激しい頭痛で、嘔吐もある場合
● 熱を伴う場合
● 睡眠障害、食欲の低下など日常生活に支障がある
● けいれんがある場合
● 意識がもうろうとしている場合
発熱や嘔吐、けいれんが見られ、意識レベルも下がるようであれば、髄膜炎などの可能性も考えられます。できるだけ早く小児科にかかるようにしてください。
また、発熱はなくても嘔吐をくり返す場合は、脳腫瘍などの可能性が考えられます。脳神経外科を受診しましょう。
頭を打って嘔吐する場合も、脳神経外科にかかるのがよいでしょう。

頭痛になりにくい生活を送るための5つの工夫

頭痛を起きにくくするには、規則正しい生活が大切です。次の5点に注意しましょう。
● バランスのいい食事、適度の運動
● 睡眠不足は片頭痛の原因となることが多いため、しっかり睡眠をとる
● 血液がドロドロになることで頭痛を引き起こすことがないよう、しっかり水分補給を行う
● 匂いや特定の食品など痛みを引き起こす原因がある場合は取り除く
● スマホやタブレットの使用時間や日ごろの姿勢を見直す
なお、髄膜炎や脳腫瘍などによる二次性頭痛は基本的に予防法はありません。症状が見られた際に、すぐに受診することを心がけてください。

まとめ&実践TIPS

子どもの頭痛の種類や原因、対処法についてご紹介しました。子どもの頭痛は、お子さま自身がうまく言葉で説明することが難しいからこそ、保護者のかたが状態をよく観察して症状をつかむことが大切です。「これはこの種類の頭痛だな」と判断するのは難しいとは思いますが、いつもお子さまと過ごされている保護者だからこその「いつもと違うぞ」という違和感が大きなサインとなります。違和感を覚える際には、医療機関に相談しましょう。
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