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子どもの病気・トラブル

2024/4/26

【医師監修】飴は何歳から食べていい?注意点や応急処置は?

飴は何歳から食べていい?

飴(あめ)は何歳から食べさせてもいいのか気になっているかたもいらっしゃるのではないでしょうか。飴は何歳ごろから食べられるのかの目安や、食べさせる時の注意点、誤って飲み込んでしまった際の対処法について、東京医科大学教授で小児科がご専門の山中岳先生監修のもと解説します。

監修者


子どもの心身の成長に向き合う現場を20年以上経験するドクター。経験に加え、日本小児科学会専門医・指導医、日本小児神経学会専門医・指導医、日本てんかん学会専門医・指導医、と数多くの認定資格を所持し、日々、てんかんや熱性けいれんなどのけいれん性疾患、頭痛、発達の遅れ、脳性麻痺など、主に神経疾患のお子さまの診察を行う。東京医科大学主任教授としても、次世代の医師の育成に力を入れている。

飴は何歳から食べていい?

飴は、5歳以下のお子さまは避けてください。噛(か)み砕いたり、飲み込んだりする力が弱いうちは、窒息のリスクも高くなるためです。飴玉でなく、棒付きの飴であれば、飲み込んで喉に詰まらせるリスクは減りますが、棒から外れることもあるため安心とはいえません。また、棒がのどに刺さり、命の危険を招くこともあります。5歳以下のお子さまが飴を食べる際のリスクについて、まとめると次のとおりです。

子どもが飴を食べる際のリスク

子どもが飴を食べる際のリスク
1)窒息
飴は丸くてつるつるしているため、ふとしたきっかけで吸い込んだり、喉に落ちてしまったりする可能性があります。小さいうちは咳(せき)をする力も弱いため、うまく喉から押し出すこともできず、窒息してしまう危険性も考えられるでしょう。
2)虫歯
飴には砂糖が多く含まれています。虫歯菌は、砂糖をエネルギーに酸を作り、歯の表面を溶かしていくため、飴を食べると虫歯のリスクは上がります。乳歯は永久歯よりも虫歯が早く進行するうえ、乳歯が虫歯になると永久歯も虫歯になりやすくなるため、注意が必要です。

飴を食べさせる際の注意点

6歳以上のお子さまに飴を食べさせる時も、最初のうちは、万が一に備え小さな異変に気付けるよう見守りましょう。それ以外にも、窒息や虫歯を防ぐために次のような点に注意していきましょう。特に初めのうちは大人が見守っている環境で食べさせるようにしてください。
飴を食べさせる際の注意点
<飴玉、棒付き飴共通>
● 噛んだり、飲み込んだりせずに舐(な)めて食べさせる
口の中で舐めるという動作に慣れておらず、大きなまま噛んだり、飲み込んだりしようとするケースもあります。その場合、喉に詰まらせる危険性が。最後まで舐めて食べるということをしっかり教えるようにしましょう。
● 立ったり、歩いたりしながら食べず、座って食べる
立ったり、歩いたりしていると、他のことにも気を取られ、ふとした拍子に飲み込んでしまう危険性も高まります。また、棒付きの飴の場合は転んだり、ぶつけたりして棒が喉に刺さってしまうことも考えられます。のどと脳は近い場所にあり、命に関わる危険をまねくこともあります。落ち着いて飴を食べることに集中できるよう、座って食べるようにしてください。
● 食べたあとは、歯磨きをしたり口をゆすいだりする
砂糖が歯についたままだと、虫歯になるリスクが高まります。飴を食べたあとは、歯磨きをしたり、口をゆすいだりするようにしましょう。
<飴玉の場合>
● 大きな飴玉は避ける
大きい飴であるほど、口の中で転がすことや舐めることが難しく、飲み込んでしまうリスクも高まります。大きいほど、喉で詰まってしまう可能性も高いでしょう。お子さまが口の中でなんなく転がせるサイズのものを与えるようにしてください。
● 1個ずつ食べる
複数の飴を一度に食べさせないようにしましょう。複数であるほど、誤って飲み込んでしまう可能性が高まります。
<棒付き飴の場合>
● 口にくわえたまま話したり、遊んだりしない
棒があるため、口にくわえたまま話したり、遊んだりすることもあるかもしれません。たとえ座っていたとしても、他のことに気を取られていると、テーブルや壁にぶつけて棒が刺さることも考えられます。また、「ながら食べ」をしている時は、口から外させるようにしてください。

飴を飲み込んでしまったら?

お子さまが飴を飲み込んでしまった場合、喉に詰まらせている様子がなければ、慌てず落ち着いて様子を観察してください。飴は体内で溶けていくため、温かい飲み物を飲ませるのもよいでしょう。
顔色が悪くなる、呼吸が苦しそうになるといったことがあれば、喉に詰まっている可能性が高いため、すぐに救急車を呼びましょう。その間、次のような応急処置をとってください(※1、2)。

背部叩打法(はいぶこうだほう)で背中をたたく

(幼児の場合)
● 子どもの後ろから片手を脇の下に入れ、胸と下あごを支えてあごをそらせる。
● もう片方の手の付け根で肩甲骨の間を強く連続してたたく。
(乳児の場合)
● うつぶせにして片腕に乗せる。
● 顔を支えて頭を低くする。
● 背中の真ん中を平手で連続してたたく。

胸部突き上げ法(きょうぶつきあげほう)で胸部を圧迫する(乳児の場合)

● 乳児をあお向けにする。
● 片手全体で体を支え、手の平で後頭部をしっかり支える。
● もう片方の手の指2本で胸骨の下半分を力強く連続して圧迫する。

腹部突き上げ法(ハイムリック法)(1歳児以上の場合)

● 子どもの後ろから両腕を回す。
● 片方の手を握り拳にして、子どものみぞおちの下に当てる。
● 腹部を上部へ圧迫する。
どれか1つの方法ではうまくいかない場合は、複数の方法を組み合わせて、それぞれ5〜6回を1サイクルとして繰り返してください。

まとめ

飴はさまざまな色やデザインのものがあり、お子さまにとっても魅力的なものです。しかし、噛む力や飲み込む力、咳で押し出す力が十分でないうちは、窒息のリスクも大きいです。6歳ごろを目安に食べさせ始めるといいでしょう。与える際には、食べ方や食べる時のルールについても教えてあげられるといいですね。
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