安全・健康に関するテーマで探す:子育て・育児

子どもの病気・トラブル

2023/12/21

【医師監修】「パパ見知り」とは?いつから始まる?原因や対策を解説

「パパ見知り」とは?いつから始まる?原因や対策

ママと一緒のときはニコニコご機嫌なのに、パパがあやすと大泣きで拒否……。通称「パパ見知り」と呼ばれる状態にお困りのかたもいらっしゃるのではないでしょうか。全身全霊で暴れる様子に「嫌われてるのかな」「あやし方がうまくないのかな」とショックを受けることもあるかもしれません。

そんなかたも、落ち込まなくて大丈夫。実は「パパ見知り」は、成長のプロセスの一つなのです。赤ちゃんのパパ見知りの時期や原因、対処法はどのようなものがあるのでしょうか。東京医科大学教授で小児科がご専門の山中岳先生監修のもと解説します。

監修者


子どもの心身の成長に向き合う現場を20年以上経験するドクター。経験に加え、日本小児科学会専門医・指導医、日本小児神経学会専門医・指導医、日本てんかん学会専門医・指導医、と数多くの認定資格を所持し、日々、てんかんや熱性けいれんなどのけいれん性疾患、頭痛、発達の遅れ、脳性麻痺など、主に神経疾患のお子さまの診察を行う。東京医科大学主任教授としても、次世代の医師の育成に力を入れている。

「パパ見知り」とは?原因は

パパ見知りとは?
パパ見知りは人見知りの一種。赤ちゃんがパパと接すると泣いたり不安そうな様子を見せたり、パパにあやされるのを嫌がったりすることを表します。医学用語ではありませんが、特にパパに対して人見知りをする様子を表す言葉として一般に使われるようになっています。

認知能力の発達と愛着が原因

パパ見知りで赤ちゃんに体を大きくよじって拒否反応を示されると、パパとしてはショックを受けてしまうこともありますよね。しかし、パパのことが好きではないから起きるわけではないので、安心してください。パパ見知りの原因は、次が挙げられます。
認知能力の発達
大きな理由が赤ちゃんの認知能力の発達です。赤ちゃんは生後6か月ごろから、いつも身近にいてくれることの多い人と他の人との区別がつくようになります。そのため、最も多くお世話をしてくれる人以外の人に不安を感じたり、怖がったりするようになり、人見知りにつながります。パパのほうがママよりも赤ちゃんと接する時間が少ない場合には、パパ見知りが起きることがあります。
人見知りやパパ見知りが起きる時期は「eight-months anxiety(8か月不安)」ともいわれます。
これは、赤ちゃんが自分をいちばんお世話して守ってくれる人を本能的に求める行動。本能的に身を守る赤ちゃんなりの生存戦略ともいえるかもしれません。
人見知りやパパ見知りは、赤ちゃんが順調に育ってきている証拠です。なかには、人見知りもパパ見知りも起こさない赤ちゃんもいますが、赤ちゃんの成長は個人差の大きいもの。心配し過ぎなくて大丈夫です。

パパ見知りが始まりやすい時期と期間

パパ見知りの時期と期間
パパ見知りは、人見知りと同時期であることが多いです。生後6〜8か月頃に始まり、言語能力の発達に伴い、1歳半〜3歳頃までには落ち着くのが一般的です。
赤ちゃんによっては、生後6か月よりも早くから始まることもあります。また、人見知りはするけどパパ見知りはしないという赤ちゃんもいれば、弟や妹が生まれて赤ちゃん返りが見られるタイミングで、パパ見知りが起こる子もいます。

パパ見知りの対処法は?

パパ見知りで赤ちゃんが体をのけ反らせて大泣きすると、焦ってしまいますよね。「泣き止ませなきゃ」と焦るあまり、逆効果ということもあるかもしれません。焦りや動揺は、赤ちゃんをより不安にさせてしまうもの。NG対処法とOK対処法を知って、落ち着いて対応できるようにしましょう。

注意したいNG対処法

● 焦りや動揺を落ち着かせないままに赤ちゃんに接する
● 大きな声や動作で接する
● 力ずくで無理やりお世話する
焦るとどうしても声が大きくなったり、動作がせわしなくなってしまうものです。なんとかしなきゃ……と力ずくであやすということもあるかもしれません。しかし、それらは赤ちゃんの不安や恐怖をより増幅させてしまうことにもなりかねないため、注意しましょう。

落ち着いて、優しく対応することを心がけて

パパ見知りをしている赤ちゃんは、不安が大きくなっている状態です。そのため、落ち着いて優しく対応することで、不安な気持ちを和らげてあげましょう。
赤ちゃんを安心させてあげるには、赤ちゃんが普段お世話され慣れている人のあやし方をお手本にするのがおすすめ。周囲の先輩パパママや自身のご両親などから、声のトーンや話すスピード、体のさすり方などレクチャーしてもらってもよいかもしれません。

パパ見知りでストレスを抱えないために

パパ見知りでストレスを抱えないために
パパ見知りが見られる時期は、夫婦や保護者間でも共にストレスをためこみやすいものです。パパは子どもの拒否反応に少なからずショックを受けますし、ママも「ママがいい」ばかりでは疲れてしまいますよね。育児がママに一極集中してしまいがちになるかもしれません。
お互いにストレスが蓄積されやすい時期だからこそ、イライラをぶつけ合うのでなくフォローし合うことを心がけてください。たとえば、お互いにあやし方やお世話の仕方にダメ出しをするのではなく、「こうやると喜ぶよ」とアドバイスをし合うなど。たまには「お互いツラいよね」と軽いグチをこぼし合うのもいいかもしれません。夫婦や保護者間でのいいチームワークの雰囲気を感じられたら、赤ちゃんも安心するでしょう。
それでも、どうしてもつらい時もあるでしょう。そんな時は「今の子どもの様子は、成長のプロセスの一環」とお互いに言い聞かせて、長い目で見て励まし合えるといいですね。

まとめ

パパ見知りがあるからといって、パパが苦手だったり嫌いだったりするわけではありません。認知機能が育ち、保護者のかたとの愛着や信頼感が順調に醸成されている証拠であり、成長のプロセスの一環です。ときにショックを受けてしまうこともあるかもしれませんが、お子さまのお世話のチームワークを高めていく機会にもなるもの。フォローしながら、赤ちゃんとの時間を過ごしていけるといいですね。
clinic TOPに戻る