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子どもの病気・トラブル

2023/11/17

【医師監修】元気なのに下痢が続く子ども…原因や対処法は?食事はどうする?

【医師監修】元気なのに下痢が続く子ども…原因や対処法は?食事はどうする?

子どもの下痢が長引いて心配になることもあるのではないでしょうか。「元気なのになぜ?」と疑問に思うこともあるかもしれません。 元気であるにもかかわらず下痢が続く場合の原因や、対処法、食事で気を付けたいことをご紹介します。

監修者

にへい けんじ


東北大学医学部卒業。東京大学小児科、自治医科大学小児科を経て、 1979年から2001年まで国立小児病院神経科医長、 2001年から2004年まで国立成育医療センター神経内科医長 、2006年から、東京西徳洲会病院小児センター神経・発達部勤務。 小児神経学、発達神経学が専門。

子どもの下痢でよくある5つの原因

子どもの下痢は、柔らかい便や、水のような便が何度も出るもので、次のような原因が考えられます。
<ウイルスや細菌が原因の場合>
1. 感染性胃腸炎
急性の下痢の多くは、感染性胃腸炎が原因です。ノロウイルスやロタウイルス、アデノウイルスなどのウイルスや、病原性大腸菌、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌などの細菌が挙げられます。
食べ物が原因のもの

2. 消化不良
食べ過ぎや飲み過ぎ、早食いなどで、食べ物が十分に消化されず腸が刺激されることで下痢が起こります。

3. 食物アレルギー
食物アレルギーのあるものを食べた際に下痢が起こることもあります。血液検査でアレルギーのある食物を調べることもできますが、100%信頼できるものではありません。下痢が起きた際、食べた物を思い出してアレルギーのある食物の見当を付けていきましょう。

4. 乳糖不耐症
母乳や牛乳に含まれる乳糖を分解するラクターゼという酵素の機能が弱っていたり、生まれつき不足していることが原因で、乳製品をとると下痢をするものです。

<ストレスなどが原因のもの>
5. 過敏性腸症候群
過敏性腸症候群は、ストレスなどが原因で、腸が敏感になり、下痢や便秘を繰り返すものです。

子ども自身は元気なのに下痢が続く場合に考えられる原因は?

体調が悪い様子は見られないのに、下痢をしているということもあります。このような場合は、次のような原因が考えられます。
● 一時的な消化不良

暴飲暴食や冷たいものを取り過ぎていなかったでしょうか。子どもは消化器官が未熟なため、消化不良が起きやすくなります。安静にして、おなかにやさしい食べ物をとるようにしましょう。

● 乳糖不耐症や食物アレルギー

原因となっていると思われるものの摂取を控えると下痢の症状も改善します。医療機関で血液検査などを受けることもできます。

● ストレスなど心理的な要因

疲れていないか、ストレスになっていることはないかなどを確認してみてください。疲れている場合は、体力が回復することで、下痢が落ち着いていくはずです。睡眠や休養を十分にとって、疲れやストレスがたまらないようにしましょう。

下痢への対処法や受診の目安は?

下痢を起こしている場合でも、元気な様子で、食事や水分もとれているのであれば、ご家庭で回復するのを待つので問題ありません。安静にすること、刺激物を避けて消化のいいものを食べること、水分をしっかりとることを意識して下痢が治まるのを待ちましょう。下痢の際の食事については、後述します。

下痢止めは使ったほうがいいの?

下痢で苦しんでいる様子を見ると、下痢止めを服用させてあげたくなるかもしれません。しかし、下痢止めの使用は、逆に症状を悪化させたり、回復を遅らせたりしてしまうことがあるため注意が必要です。下痢を止めてしまうことは、腸内にウイルスや細菌をとどめておくことにもなるためです。
整腸剤であれば、用法・用量を守って飲むことはかまいません。

受診の目安

基本的には、元気な様子であれば受診の必要はありません。ただし、次のような場合は、一度医療機関を受診するのがよいでしょう。

● 脱水症状が見られる場合
○ ぐったりしている
○ 体重が減ってきた
○ 尿が出ない、または少ない
○ 顔色が悪い
○ 舌が乾いている
● 1週間以上、下痢が続く場合
水様性の下痢、吸収不良や、脱水のリスクがある可能性があります。
● 血便がある場合
病気が隠れている場合があります。

下痢の際の食事はどうする? 食べていいもの、避けるべきもの

下痢の間は腸が弱っているため、刺激物や油が多いものは避け、消化のよいものを食べさせてあげてください。吐いてしまう場合は、電解質も排出されてしまうため無理に食事を与えず、水分補給にとどめるのがよいでしょう。
食べることをおすすめするもの
● ご飯・おかゆ
● うどん
● みそ汁
● 豆腐
● やわらかくした野菜
● りんご
● バナナ
食べるのを避けたほうがいいもの
● 揚げ物など油の多いもの
● お肉類
● 辛いもの
● きのこなど食物繊維が多いもの
● 牛乳やヨーグルトなどの乳製品
● みかんなどかんきつ系の果物
調理法は、焼いたり、炒めたりするよりは「煮る」「蒸す」のほうが胃腸にやさしく、おすすめです。

下痢をしている時は水分補給を忘れずに

下痢を起こしている際は、水分が奪われ、脱水症状になるリスクが高まるため、十分な水分補給をしましょう。水分だけでなく、体の調子を整える電解質も失われるため、飲むことで補うことが大切です。
水分補給は、ただの水ではなく塩分と少量の糖分が入ったものが望ましいです。経口補水液がおすすめですが、ない場合はスポーツドリンクや、湯冷ましに砂糖や食塩をとかしたものでもOKです。
また、刺激になることを避けるために冷たいものを飲ませるのでなく、常温のものを飲ませるようにしてあげてください。

まとめ&実践TIPS

下痢があっても、元気で食事と水分がとれていれば心配しすぎることはありません。受診の目安でご紹介した症状が見られないようであれば、安静と睡眠、栄養を心がけて回復を待ちましょう。「早く元気になってほしい」との気持ちから、食事に気を配られるかと思いますが、腸が弱っている時期のため避けたほうがいい食材もあるので注意していきましょう。
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